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当院が「アナログの型取り × 熟練技工士」を大切にしている理由

2026年02月01日

 

〜デジタル全盛時代に、あえてお伝えしたいこと〜

最近、「型取りはデジタル(口腔内スキャナー)が主流!」という情報をよく目にします。

確かにデジタル印象(型どり)は新しい技術であり、患者さんの負担を軽くできる場面もあります。

しかし当院では、すべての治療にデジタルを使えるとは思っておりません。

治療の「結果=精度」を最優先に考えているからです。

 

被せ物の精度を左右する、いちばん大切なポイント

被せ物や詰め物の精度は、

歯と歯ぐきの境目(マージン)の再現性で大きく変わります。

ここが曖昧だと、

  • 被せ物が浮く
  • 汚れが溜まりやすい
  • 虫歯や歯周病の原因になる

 

など、将来的なトラブルのリスクが高まります。

デジタル印象の実際の精度について

光学印象(デジタル)はカメラで歯を読み取る仕組みです。

そのため、

  • 歯ぐきの下に隠れた部分
  • 出血や唾液の影響がある部分
  • 深い境目の位置

 

こうした条件では、正確に読み取れないことがあります。

実際の研究でも、

✔ 短い範囲の補綴(単冠・短ブリッジ)では

デジタルと従来法は同等〜ややデジタルが劣るという結果もあり、

✔ 長いスパン(フルアーチ・多数インプラント)では

従来法の方が安定しているという研究が報告されています。

(例:従来法が良い傾向があるという比較研究)

👉 Accuracy of digital versus conventional implant impressions in complete-arch prostheses(比較レビュー)

また一部の研究では、

短いインプラント症例でデジタルが同等レベルの精度である可能性を示しつつも、

やはり「長い補綴では注意が必要」と結論づけられています。

👉 Accuracy of digital vs conventional implant impressions(部分欠損患者のメタ解析)

 

 

 

従来の型取り(アナログ印象)の強み

当院で行うアナログ型取りは、シリコン印象材や寒天印象を使い、

  • 歯ぐきをやさしく押し広げ(歯肉圧排)
  • 境目の細部まで材料を流し込み
  • 立体的に正確に再現する

という物理的な方法です。

この物理的再現力は、現在のデジタル技術でも完全に置き換えられていません。

保険診療でも精度を落とさない工夫 ~ Do the right thing ~

「保険診療だから粗いのでは?」と思われる方もいますが、当院では違います。

印象材は時間が経つと変形することが知られています。

そのため当院では、保険診療でも、

  • 確実な歯肉圧排
  • 歯科医師による印象(対合歯も含む)
  • 型取り後にすぐ石膏模型を作製
  • 変形の起こらないように手間を省かず丁寧に行う

これらを徹底しています。 ですので上下の型を同時にすることはありませんし型どり中に印象トレーから

手を放さず固定いたします。わずかな事で予後に大きくかかわりますのでこのようにさせていただきます。

つまり、保険だから手抜きではなく、必要な工程は同じ精度で行うこれが当院の基本方針です。

スピードを重視するのであれば上下一緒にとり歯科医師以外のスタッフに任せてやるのが早いと思います。しかし当院では

スピードよりも確実性と長期予後を大事にするのでこのようにさせていただきます。

治療時間を短縮するという目的で補綴物の精度を下げることは長い目で見ると治療のやり直しになりますので時間とコストの

無駄になると思います。

 

技工士の「目」と「手」が最終的な精度を決める

型取りの後、実際に歯を作るのは 歯科技工士です。

熟練した技工士は、

  • 石膏模型を手で触り
  • 境目を目で確認し
  • ミクロン単位で仕上げる

ことができます。

研究でも、

「複雑な症例や長いスパンでは、従来法の印象に基づく模型の安定性が高い」

という報告があります。

👉 Digital vs conventional impression techniques: systematic review(比較レビュー)

デジタル印象を完全否定しているわけではありません

当院は デジタル印象を否定しているわけではありません。

  • 歯ぐきより上に境目がある場合
  • 単純な補綴
  • 嘔吐反射が強い方

こうしたケースでは、デジタル印象が適していることもあります。

また材料のコスト削減、運搬コストも減らせますのでエコだと思います。

 

当院の結論

歯科治療で本当に大切なのは、

「新しい技術かどうか」ではなく、

長く安定して使える治療かどうかです。

現在の科学的知見と臨床経験から見ると、

アナログの型取り × 熟練した技工士の技術

は、今でも最も信頼できる方法の一つです。

最後に

最新技術は魅力的です。

しかし歯科治療は、

機械だけで完結するものではありません。

当院はこれからも、保険・自費を問わず、

患者さん一人ひとりにとって

本当に精度が高く、長持ちする治療を誠実に提供していければと思います。

 

桑幡歯科医院 三越前駅1分の歯医者|桑幡歯科医院
中央区日本橋室町3-3-3 CMビル2F

 

 

参照文献