アマルガムは悪者か?
2025年07月15日
こんにちは。
先日ある記事でアマルガムについて触れていたので今回は「アマルガム(銀歯)は体に悪いのか?」というテーマで、WHOやFDAなどの専門機関の見解を踏まえ、よくある誤解との違いも含めて解説します。
アマルガムとは?
アマルガムは、水銀と銀・スズ・銅などを混ぜた歯科用の合金で、1長きにわたって世界中で使用されてきました。
耐久性が高く、安価で手軽に使える詰め物として保険診療でも長く用いられていましたが現在は使用されていません。
「水俣病」とは別物
「水銀=水俣病の原因」と思われることがありますが、これは誤解です。
アマルガムに使われるのは金属水銀(無機水銀)であり、水俣病の原因となったのはメチル水銀(有機水銀)です。
両者は性質も毒性もまったく異なり、アマルガムによる健康被害の科学的根拠は現在のところ無いようです。
WHOの見解
WHO(世界保健機関)は、「アマルガムは適切に使用される限り安全である」と評価しています。
使用削減の動きは主に環境対策(水銀排出の抑制)のためです。
WHO公式声明:
https://www.fdiworlddental.org/who-consensus-statement-dental-amalgam
FDAの見解
FDA(米国食品医薬品局)も、成人や子どもにとってはアマルガムは基本的に安全としています。
ただし妊婦や水銀過敏症の方などには注意が必要とされています。
FDA公式ページ:
https://www.fda.gov/medical-devices/dental-devices/dental-amalgam-fillings
日本歯科医師会の見解
日本歯科医師会も、「アマルガムは適切に使用されていれば安全性は高い」と明言しています。
また、無症状のアマルガムを不用意に除去することは、逆に水銀蒸気の暴露リスクを高めると指摘しています。
使用削減はあくまで環境対策
現在アマルガムの使用が減ってきているのは、「ミナマタ条約」に基づく環境配慮の一環であり、患者の健康リスクによるものではありません。
詰め直しは必要?
アマルガムに異常(虫歯の再発・欠け)がなければ、無理に取り替える必要はありません。
除去の際には適切な設備や手順が求められますので、希望される場合は歯科医にご相談ください。
新しい選択肢
白くて目立たないコンポジットレジン、セラミックなどの素材も選べます。
見た目や金属アレルギーの点で優れていますが、耐久性・費用などの違いがあります。
まとめ
- アマルガムは金属水銀であり、水俣病のメチル水銀とは別物
- WHO・FDA・日本歯科医師会すべてが「適切に使えば安全」と見解を出している
- 環境配慮で使用は減っているが、健康被害の科学的証拠はない
- 無症状の詰め物を無理に取り替える必要はない
- 金属アレルギーのある方は除去した方がよい場合もある
- 気になる方は、歯科医にご相談を
桑幡歯科医院(三越前、新日本橋)
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